MAMALAID RAG 楽曲解説

楽曲解説を連載の形で再スタートします。

毎回数曲ずつ各曲の完成に至る経緯、レコーディングのエピソード等

交えながら掲載していきます。

 

     以前に引き続き、リリースしたばかりの楽曲をより深くみなさんに

     楽しんで頂くため、詳しい曲ごとの解説をいたします。

     なお、曲を聴いてから解説を読まれる事をお勧め致します。

 

                                                                      MAMALAID RAG

                                                                      田中拡邦

Various

MAMALAID RAG

第五回

アルバム「SPRING MIST」


TRACK 4 [彼女の恋]


曲の土台の作曲は2007年頃。大部分は完成していたとも言えるが、そのまま発表するにはほど遠く、例の16日間の一日がこの曲のために費やされた。構成を洗いなおし、メロディーをブラッシュ・アップし、アレンジを一から練り直し、それに合わせて詩を書き下ろした。

田中の得意とする憂いを帯びた曲調であるが、こういったマイナー・キーの曲はともすれば暗く、また重くなりがちで、曲を整えて行く過程は、なかなか困難を極めた。

アルバム収録の数曲同様、ストリングスの必要性を田中は感じ、吉良都にアレンジメントをオーダーした。彼女とのやり取りは、ポール・マッカートニーとジョージ・マーティンのそれと似たような関係性にあった。

田中が電話で全体のイメージを説明し、重要な部分はハミングでその場で思いついたメロディーを伝える。そしてそれを彼女が譜面にする、というものである。このやり方により、作曲者の意図を汲みながら、さらに外部の人間の感性が加わる、という理想的なプロダクションが成立し得たのである。

さらに、この曲ではフルートがリード楽器としてフューチャーされているが、その旋律は田中が書いたものである。楽器にはそれぞれにふさわしい旋律というものがあるものだが、田中は以前、「カフェテラス」で苦労してクラリネットのリード・ラインを書いた経験があり、比較的容易に書く事ができた。ここでも20代のレコーディング・セッションで得た知識が動員されているのである。

最後にギブソンES-335によるエレクトリック・ギターをダビングし、レコーディングは終了した。

このパートは、クルセイダーズ等のセッションでおなじみのギタリスト、ディーン・パークスのイメージで演奏した。完全に脇役にまわったプレイである。

尚、ヴォーカルは仮歌をそのまま採用している。